遺言書のメリットやデメリット、自筆証書遺言・公正証書遺言、遺言の書き方の注意点、遺言書の執行方法を説明。

遺言の種類と書き方

公正証書遺言(公証人に作成してもらう正式な遺言)

遺言書を公正証書にして公証人役場に保管してもらうのが公正証書遺言です。 公正証書として公証人に法律の規定どおりに作成してもらうのですから、遺言書として無効になることはまずありません。 できあがった遺言書の原本は相続が始まるまで公証人役場で保管しますから、破損、紛失のおそれもありません。 遺言書としての確実性を求めたいなら、この方式を選ぶべきです。
ただし、公正証書遺言は証人を用意しなければならず、遺言内容を公証人、証人の前で読み上げることになるので、 相続が始まるまで誰にも明かしたくないことことがある場合は、その秘密性は失われてしまいます。
公正証書遺言を作成する前には遺言者の印鑑証明書と戸籍謄本・抄本、 住民票、遺言に書き記す遺産リストなどの必要書類をそろえてください。 基本的には公証人役場へ遺言者自らが出向いて作成してもらいますが、病気などで役場へ出向くことができないときは、 自宅や病院まで公証人に出張してもらうこともできます。公正証書遺言の作成手順は次のとおり定められています。

■証人2人以上の立会いがあること

遺言内容を知られてもかまわない証人を、2人以上用意しておきます。ただし、その証人には規定があり、 次のような人は証人として認められていません。

 □未成年者
 □遺言者の推定相続人と受遺者(遺贈を受ける人)、配偶者と直系親族
 □公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇い人

つまり判断能力を認められない人、遺言内容によっては損得の発生してしまう人は証人になれないということです。 社会的に信用のある知人や、弁護士、行政書士などに頼むといいでしょう。

■遺言者が遺言の内容を公証人に口授する

遺言内容を公証人と打ち合わせをしておいたら、日を改めて遺言者は証人を連れ公証人役場へ向かいます。 そこで証人の立会いのもと、遺言者は遺言内容を口述します。用意しておいた遺言書を読み上げてもかまいませんが、 民法上、口授と定められていますので、かならず証人と公証人の前で声を出して口授しなければなりません。

■公証人が口授の内容を筆記し、遺言者と証人の前で読み聞かせる

遺言者が口授した内容と公証人の筆記内容に差異のないことを、遺言者と証人で確認します。

■遺言者と証人が筆記の内容が正確なことを承認し、署名押印する

内容を確認後、遺言者と証人それぞれが署名押印します。 このとき遺言者に署名できない事情があれば公証人がその理由を付記して署名にかえることもできます。

■公証人が署名押印する

公証人が公正証書であることを記載し、署名押印すれば公正証書遺言は完成です。 公正証書遺言の原本は公証人役場で保管され、遺言者は正本を持ち帰ることになります。 遺言内容を変更したいときは、公証人役場で書き直すことができます。
公正証書遺言は公証人への手数料などがかかりますが、遺言書としては不備のないものに仕上がります。 確実な遺言書を残しておきたいなら、公正証書遺言を作ることをおすすめします。


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