遺言書のメリットやデメリット、自筆証書遺言・公正証書遺言、遺言の書き方の注意点、遺言書の執行方法を説明。

遺言の種類と書き方

遺言書のすすめ

遺言の効力(今だから遺言書を用意したい)

「遺言書を残しておくべきだとは思うが、書式や手続きが難しいのではないか。」 「今から自分の死について考えるのは縁起が悪いので。」 「私には相続するほどの、たいそうな財産などはないから心配いらない。」 「私の家族は仲がいいので、財産分与でもめることなどないだろう。」などと考える方は多いのではないでしょうか。
しかし近年、一般の家庭であっても、遺言書を残す方が増えてきています。 税金は負担が大きくなる一方ですが、年金はどれだけ入ってくるのか当てになりません。 高齢化の進むなか、遺族にとっては遺産が今後の生活にとって大きな支えになることもあります。
大切な家族、大切な財産だからこそ遺産相続が円滑に行われるよう、今から考えておきたいものです。 相続の仕方によってはトラブルを未然に防ぐことができますし、相続時にかかる税金を軽減することもできます。 それを生前から指示しておくのが「遺言書」です。「正式な手続きをふんだ遺言書は絶対的な効力を持ちます。 残された家族への思いやり、生前からすすめていた税金対策、打ち明けられなかった事情の公認など、遺言書に残しておくことで、 さまざまな事柄を実現させることができるのです。
たしかに、公的な書類として効力を得るために、遺言書の書き方にはいくつかの正式なきまりがあります。 状況によっては公証人に頼んだり、遺言執行者を指定しておく必要があります。 これらは少し面倒に思われる手続きですが、一度やり方を知ってしまえばそう難しいことではありません。 せっかく作った遺言書が、効力を持てないなどということのないように、ひととおりの決まりごとは確認してください。
遺言書は何度でも書き直すことができます。今後体調の変化などによって、あなたを取り巻く状況に変化がおきたり、 財産の価値が変わっても、遺言書の取り消し、書き直しは可能ですから、遺言書は用意しておいて早すぎるということはありません。

財産管理(財産を確認しておくことも大切)

また、これを機会に、自分の財産をしっかり把握しておきましょう。 財産の相続は遺言書がなくても法律の規定に基づいて行われますが、法律に任せきりだと不都合なことがいくつかあります。
法的に定められた遺産相続では相続の割合は簡単に割り出せますが、相続内容までは決められていないので、 相続人同士が欲しい財産をめぐって争うことも考えられます。 法律どおりに財産分与をしていこうにも、不動産や物品など分けて与えることができない遺産もあります。
法律に基づいた遺産分配は、すべての財産を一旦金銭価値におきかえてなされます。 金銭以外の財産は、その価値がどのくらいあるのか判断がつきにくいものです。 生前に財産になるものをリストにあげ、財産価値を計算しておきましょう。 自分の財産がいくらぐらいになるのかわかっていれば、それをどう分配していけばいいのか見当がついてきます。
また、相続の仕方によっては、かえって多額の税金を支払わなければならないケースも出てきます。 これではせっかくの財産が有効に相続されたとはいえません。 節税は生前から心がけておくと有利になりますから、財産管理は早めにしておきましょう。
遺言書を書く前に財産整理をしておく、そしてできるだけ損のない相続を検討しておくことは大事なことです。 遺産相続について考えておくことは、財産や家を守ることにもつながります。 それを遺言によって確実に、残された家族へ伝えておきましょう。 欧米では遺言書を残しておくことが当たり前になっています。 財産を持っている人なら誰でも、自分の財産を自ら守るべきではないでしょうか。

遺言の意義(大切な家族のために)

残された家族は遺産をどうしたらいいものか、あなたの意思をはかりかねることもあります。 「お父さんはどうしたかったんだろう?」と途方にくれてしまうこともしばしばあります。 残してくれた美術品や宝飾品をどんなふうに分けたらいいものか困ってしまうこともあるでしょう。 仲がよかった兄弟が些細な金銭をめぐって主張が食い違い、トラブルに発展することも最近増えています。 これらはあらかじめ遺言によって遺言者の意思を明確にしておけば、避けられたことではないでしょうか。
また、家族によっては特別な事情を抱えている場合があります。 病気がちの妻が一人残されたり、何人か子供はいるのに長男だけが家業を継いで苦労しているなどです。 家族には言い出せなかった隠し子を抱えている場合もあるかもしれません。 そんなとき遺言者の思いを遺言書に託しておけば、心残りも少なくてすむものです。
遺言書があるために円滑に遺産相続がすすむというケースも多くあるのです。 しかし家族から遺言書を書いてくれと頼むのは、少し気がねをしてしまうものです。 大切な家族のために、あなたが健康でいるうちに、遺言書はしっかり準備しておくことをおすすめします。


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