遺言書のメリットやデメリット、自筆証書遺言・公正証書遺言、遺言の書き方の注意点、遺言書の執行方法を説明。

遺言の種類と書き方

遺言書がないことによるデメリット

家族間トラブル(仲のよい家族がバラバラになることも)

仲がよかった兄弟が財産分与をめぐって争いとなり、あげくに裁判沙汰にまでなってしまったというようなことをよく聞きます。 財産分与に関しては兄弟の当人同士というよりその配偶者、子供を含めた家族同士の話になりますから、ことはより複雑になります。
父親が脳梗塞で倒れてから3年間あまり、近所に住む次男の嫁がずっと介護を続けてきましたが、 父の死後、今まで何もしてこなかった長男夫婦が家を含めた遺産の分配を主張しました。 これには当然次男の嫁は納得せず、やがて兄弟の家族同士が裁判で争う、という悲しむべき事態に発展していった例があります。
また、配偶者と子供がうまくいかなくなることも多いようです。残された家をめぐって息子夫婦がその権利を主張しましたが、 同居を求める息子夫婦に対し、その嫁とそりが合わない母親は同居を拒否。 しかし、住み慣れた家を離れて暮らす場所もないので母親は家を渡したくない、というのです。 これも家庭裁判所に持ち込んで話し合いがもたれました。
このようなトラブルは、父親である財産分与をする側が意思表明をしておくことで、避けることができるケースも多いのです。
面倒をかけた次男夫婦にこそ、家の権利を含めて多めに財産を分与しておきたい。 長年住み慣れた家を離れるのはかわいそうなので、母親にこの家の権利と財産を与えたい。 トラブルが予想される場合はできるだけ、遺言で指示を出しておく方がいいでしょう。備えあれば憂いなしです。 遺言書に書かれた意思は自分がいなくなった後で家族を守ることにつながります。

事業トラブル(個人商店を複数の兄弟で相続する)

個人経営の事業は、その権利、財産が経営者個人のものになっていることがほとんどです。 たとえば個人商店を営んできた人が亡くなったとき、財産の大半がその商店に関するものだったとしたら、 遺産分割は難しいものになります。 長男がその店を継ぐことが決まっていても、その他の兄弟に分配される遺産がほとんどないなどということにもなりかねません。 しかし店をつぶしてしまうわけにもいかないのです。
そのようなときは遺言で遺産をほとんど分けてもらえない兄弟たちに納得してもらうか、 売上げの一部を分配していくなどの妥協点を具体的に提示しておいたほうがいいでしょう。
現金など分配しやすいものに関しては法定相続によって明確に分け合うことができますが、 不動産や会社の権利、高価な遺品など分配できないものもありますし、多額の相続税がふりかかることもあるのです。 さんざん言い争ったあげく、親子三代続いていた家を売り払ってしまった、というケースも少なくありません。

子供のトラブル(幼い子供を残して先立つ)

幼い子供を残して親が死んでしまった場合も、相続人が未成年であるためトラブルが生じることがあります。
八歳になる息子を残して突然の病に命を落としてしまった母親。父親とは別居中でした。 そのため息子は母方の祖母が引き取って育てることになりましたが、生命保険金は受取人が父親名義のままだったので、 遺産のほとんどが父親の手に渡ってしまいました。養育費こそ支払われているものの、 多額の保険料を持ったまま父親は再婚しました。
これからも息子を引き取るつもりはないようですが、 学費のかさむ年頃になった息子のために母親の遺産の一部を使いたいと祖母は考えています。
若くして逝ってしまった母親はこうなることを考えていなかったでしょうが、別居を始めたときに保険金の受取人名義を変えておいたり、 あるいはきちんと離婚の手続きをすませておけばこうした問題は起こらなかったでしょう。 子供に財産を持つ権利がないわけではありませんが、未成年の場合、後見人がいなければ権利の主張ができません。 一人親として子供を守っていくのなら、若くても遺言書を残しておいたほうがいいかもしれません。
またある人には、弟夫婦が亡くなって以来ずっと親代わりになって育ててきた姪がいましたが、養子縁組をすませていなかったために、 遺産は実の子供だけに分配され、その姪には分配されなかったという例もあります。 養子縁組は双方の了解のもとになされるものですから、遺言書では養子縁組を執り行うことはできません。 養子縁組は亡くなる前にすませておくか、あるいは遺言で姪にも財産を分与したいとひとこと書き加えておけば、 その姪が悲しむことはなかったでしょう。

遺言の必要性(遺言を残しておきたいケース)

相続に関するトラブルが多発化するなかで、もめごとが起こりやすい次のようなケースは、 事前に遺言書を作成しておくことをおすすめします。

(1)相続財産に関して
持ち家や農地など分割できない財産を複数の兄弟でどのように分配するのかを指定しておきます。 また、土地の分割や賃貸マンションの権利を分け合うことは可能ですが、 遺言者がどうしても分けてほしくないときはそのことを遺言に書いておきましょう。

(2)遺産分割に関して
法定相続では相続分の割合を決めることはできますが、それぞれ何を相続するかについては定めていません。 遺言書がなければ遺産の配分を相続人同士で話し合って決めることになります。 特に相続人が多いときは、有価証券や動産など、どれをどのように分割するのか指定しておいた方が相続は円滑にすすみます。


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