実際の裁判は、手続きが複雑です。誰もが気軽に利用できるというもとではありません。 例えば、1,000万円に関する事件なら裁判してでも支払ってもらおうと考えても、 10万円であれば裁判を起こそうと思わないのが一般的です。
しかし、それでは、小さな事件においては、権利が保護されないということになってしまいます。
そこで誰でも、気軽に、しかも簡単に裁判所を利用できるようにしたのが、少額訴訟制度です。 金銭に関する30万円以下の少額案件を対象とした制度です。
この制度は、一般の裁判のように弁護士を代理人としなくても、自分自身で裁判ができるように工夫されています。
アメリカでは、少額訴訟は「small claims court」と呼ばれていて、すでに100年の歴史があります。 テレビでもよくその光景が見られるほどアメリカでは一般化している制度です。
日本の少額訴訟は、こうしたアメリカの制度を参考にして作られました。 日本では、少額訴訟制度がスタートしたのが、平成10年1月ですので、日が浅くまだまだ定着していないのが現状です。
しかし、インターネットのトラブルに代表されるように、 金銭の少額トラブルは非常に多いため、これからますます少額訴訟のニーズは増えていくものと想定されています。 (裁判所の書記官に確認すると、制度のスタート時に予想していたよりもはるかに多く利用されているとのことでした)