相続の開始時期、法定相続人と財産範囲、遺言と遺留分、遺産分割協議や相続放棄の遺産相続の法律を説明。

遺産相続の法律知識

相続と戸籍(在日コリアン)

相続を登記原因とする場合、不動産登記手続きでは不動産登記法41条により、相続証明書が必要となります。 不動産登記法41条によると、 「登記原因が相続なるときは相続を証する市町村長若しくは区長の書面 又はこれを証するに足るべき書面を添付することを要す」と定めています。

まず被相続人が「韓国表示」の場合について説明します。
韓国に家族関係及び身分関係を公証する戸籍制度があるため、 被相続人の死亡、登記申請人が相続人であることの証明が可能となりますので、 原則として戸籍整理された韓国の戸籍謄本が必要となります。
しかしこれはあくまでも原則としてであり、戸籍整理が済んでいない「韓国の戸籍謄本」でもかまいません。 在日コリアンの場合、韓国の本籍地に届出していないことが多いため、 韓国戸籍に身分事項が正確に記載されていない場合がよくあります。
そのような場合、日本の法制度を利用して身分関係を証明します。 例えば、外国人登録原票に記載される「世帯主との続柄」等の記載のある「登録原票記載事項証明書」です。 被相続人が世帯主であったとして、相続人である配偶者の 「登録原票記載事項証明書」に「世帯主との続柄 妻」と記載されていたのであれば、 婚姻を証明する一資料として相続登記に添付するのが実務上の取扱いです。
「外国人登録原票」の記載は、原則として本人の申請に基づくものなので、世帯主との続柄が記載されていない場合は、 法律上の婚姻を証明するために婚姻届記載事項証明書あるいは婚姻届受理証明書を添付することが望ましいでしょう。
出生の身分関係が戸籍に記載がない場合も上記と同様に、外国人登録原票の「世帯主との続柄」で証明するか、 日本の役所に提出した出生届で証明します。
上記の「外国人登録原票記載事項証明書」は相続人全員のものが必要となります。 それに加えて相続人全員による「私達以外に相続人はいない旨」の宣誓書が必要となります。 この宣誓書には相続人全員の実印を押印しなければならず、相続人全員の印鑑証明書の添付も必要となります。

次に被相続人が「朝鮮表示」の場合です。

朝鮮表示のコリアンの場合は韓国の戸籍謄本には被相続人の相続関係は途中までしか記載されていないことが多いので、 被相続人が韓国表示の場合と同様に、 日本の法制度を利用して日本で提出された婚姻届や死亡届、外国人登録原票記載事項証明書等で相続関係を証明します。 相続人全員による宣誓書も当然必要となります。
また被相続人が朝鮮表示の場合の相続関係を証明する一資料として、在日朝鮮人総聯合会発行の証明書が考えられます。
在日朝鮮人総聯合会は、現在日本と共和国との国交がないため共和国政府に代わり、 日本国内における共和国政府の準公的機関と認識されているとの考え方からすれば、 在日朝鮮人総聯合会発行の証明書は相続関係を証する書面と考えられるでしょう。


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