身寄りのない一人暮らしの老人が亡くなったときや、天涯孤独と称してはばからなかった人が亡くなったとき、 残された財産はどうなるのでしょうか? 核家族化がすすんだ現在では、このように配偶者や子供もなく、相続人がいるのかわからないまま亡くなる人も多くいます。 本人の意思により遺言が残されていれば、それに従った相続人、遺贈先が決定されますが、たとえ遺言による受遺者がいても、 その被相続人にほかの相続人がいないかどうか調べる必要があります。遺言書もなければ相続人不明という状態になります。
このようなときは「相続人の不存在」といい、民法によって次のような手続きが定められています。
■特別縁故者の申請を受ける
以上の期間が過ぎても相続人が見つからなかった場合、「特別縁故者」の請求によって、 残された財産の一部あるいは全部を分与することができます。 被相続人に長年家族同様に親しくしていた人がいた場合、裁判所はこれを無視して財産相続を終わらせるわけではありません。 特別縁故者として認められるのは次のような人です。
被相続人と生計を同じくしていた人
長年一緒に暮らしてきた内縁の妻や夫、また養子縁組を済ませていないが生活をともにしてきた事実上の養子などです。
被相続人の療養監護に努めた人
長期にわたって介護を世話した知人や、看護人、家政婦などもこれにあたります
そのほか、被相続人の生涯のなかで特別に関係が深かったなど、 特別な援助を受けていた知人あるいは法人にも特別縁故者として認定された例があります。 特別縁故者の申請は最後の公告期間が過ぎてから3ヶ月以内です。
■残った財産は国庫に帰属する
ここまでの手続きが終わっても財産が残っていた場合、分与されなかった相続財産は国庫に収めることになっています。