プリペイド式携帯電話が悪用されたニュースで、 犯罪の背景や対策の現状などをわかりやすく説明しているものがありましたので、そのまま引用します。
プリペイド式携帯電話に「裏ルート」 身分証なしで購入可
東京都足立区の中国人男児(6)が今月6日誘拐された事件で、脅迫に使われたのは、またもプリペイド式携帯電話だった。 以前は購入時に身元確認は不要だったため、たびたび犯罪に利用されてきたが、 今では身分証明書の提示がなければ買えないはずのものだ。 しかし、インターネットやいくつかのルートを経ると、身元を明かさなくても購入できるのが現状で、 今回の事件でも、使われたのは「裏ルート」に流れたものだった。プリペイド式電話の今を追った。
「身分証なくても買えますか」。東京・歌舞伎町の雑居ビル2階。韓国人が経営する携帯電話ショップで、
客の日本人男性(23)がプリペイド式電話を求めた。店員は「大丈夫です」と答え、1万2000円と9000円の2機種を勧めた。
口コミでこの店を知ったという男性は「出会い系サイトで会う女性に、身元がばれずに済むから」と購入理由を話す。
店員は「いちいち身分証を出させたら商売にならない。でも、仕入れ先は内証だよ」と打ち明けた。
今回の誘拐事件で、警視庁は発生間もなく、脅迫に使われたプリペイド式電話の利用者を特定すべく捜査。
世田谷区の販売会社から四つの販売店に卸された1100台のうちの1台と分かったものの、それ以降の販売ルートが判然とせず、
容疑者は割り出せなかった。
容疑者の中国籍の男(24)は「横浜市の中国人雑貨商から事件当日に9000円で買った」と供述しているが、
販売店から雑貨商に流れたルートは不明のままだ。
警視庁の捜査幹部は「ブローカーが、正規の手続きで大量に購入した後、転売したものが裏ルートに乗るケースが多いようだ。 身元確認については、罰則付きの法律を作らなければ効果はない」と指摘する。 身元確認のガイドラインを作った業界団体「電気通信事業者協会」の担当者は「購入者が他人に譲り、それをまた譲るなどすれば、 店でいくら身元確認しても最終的な使用者を突き止めるのは不可能だ。 しかし、販売時の身元確認以外に名案も浮かばない」と困惑する。
プリペイド式携帯電話
事前に払った通話料金まで利用できる携帯電話。利用者にとっては通話料金が把握しやすく、
事業者にとっては料金徴収の漏れがないなどの利点がある。
国内では、98年10月からサービスが始まり、現在では15社で実施。悪用防止のため、
業界団体は00年7月以降、販売店に対して利用者の住所や名前が記された書面による本人確認を求めている。