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日本の苗字おもしろ百科事典
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名前の希少姓

希少姓とは、一つの家系に属す者だけが名のる形で現在までに受け継がれた名字の名前です。 数え方によって数は異なりますが、日本の30万種近くの名前のうち、1万種程度が希少姓だと考えてもいいと思います。 希少姓には中世に作られたものと、明治時代はじめにできたものがあります。 希少姓のいわれには面白い物が多くありますが、その一部を取り上げてみます。

ある地域に多い特殊な名前の主な例としては以下のとおりです。

苫米地(青森県)、宇賀神(栃木県)、遊馬(埼玉県)、余語(愛知県)、道家(岐阜県)、二口(富山県)、馬杉(滋賀県)、来住(兵庫県)、妹尾(岡山県)、鷲見(鳥取県)、六車(香川県)、美馬(徳島県)、入交(高知県)、白水(福岡県)、南里(佐賀県)、御手洗(大分県)、伊集院(鹿児島県)

上記のような名前は、特殊な名字で「珍姓」とよんでよいものですが、その名前を起こした家が関係者に広く伝えたことによって、現在でも聞いたことがあるほど多くいます。

名前の約80パーセントが地名から由来するものだと言われていますが、 希少姓も奇妙な地名等にもとづいて作られている場合が多くあります。 地図にのらない微細地や通称まであわせると、日本全国の地名の数は、(現在失われた地名を除いても)1千万以上あり、由来とする地名等は限りなく多いためです。

地名以外にも由来としているものには様々なものがあります。 以下はその代表的な例ですが、由来とするものを古代人の独特な感性で捉えたのが希少姓につながっているのです。

由来 名前
人(君臣、親族など)の関係 佐々木親人、播磨父麻呂
居所を名としたもの 笠御室、安部家麻呂
動物を名としたもの 石川虫名、舎人糠虫
天象を名としたもの 真鉾田高天、日之媛
官職を名としたもの 左衛門三郎、別園守
職業を名としたもの 勘解由小路(かでのこうじ)
地名、地形を名としたもの 出雲広島、尾張浜主
体の語を名としたもの 丹比大眼、鼻垂
性質、状態の語を名としたもの 一寸八寸(かまつか)
数量、住所の語を名としたもの 丹波千足、春原五百枝
神、仏の語を名としたもの 難波吉士神、文釈迦
抽象的名辞を名としたもの 安斗智徳、赤染徳足
氏の縁語をを名としたもの 加茂大川

上記の「勘解由小路(かでのこうじ)」は、 地方官を監督する勘解由使という役所のそばの道沿いに邸宅があったことにもとづく名前です。
「左衛門三郎」は、ある武家の三男で、 京都に上って左衛門府という御所を守る役所の下級の武官をつとめた者を記念するために生まれた名前です。 左衛門三郎が任期を終えて故郷に戻った後に、その子供が親の名前を名字にしたのです。
「一寸八寸(かまつか)」は草刈り鎌の柄の長さで、 草刈り競争で優勝したものが領主に「一寸八寸」の名前をもらったと伝えられています。


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