悪質な迷惑電話になれば、犯人の特定調査に警察も動いてくれます。 その際にどのような罪になると想定されるのか記載しておきます。逆に言えば、 次のような犯罪にあてはまる場合には、警察は動いてくれます。
悪質な迷惑電話を取締るものには、次の3つの法律が関係します。
傷害罪(刑法204条)
傷害罪は他人の身体の生理的機能を毀損すれば、その手段が何であるかを問わず成立します。 また、人の身体を傷つけるだけでなく、精神的に障害を来すとか、精神的にダメージを受けて耳が聞こえなくなったり、 体に震えが出るなどの場合であっても、 生理的機能を毀損したといえますので、傷害罪が成立することになります。
つまり、無言電話によって、こうした症状が出るにいたった場合には、傷害罪が適用されることになるわけです。 無言電話の相手を傷害罪で告訴する場合には、医師の診断書等、生理的機能の毀損を客観的に証明できるものが必要となります。
業務妨害罪(刑法233条)
無言電話によって仕事などの業務が妨害された場合には、業務妨害罪が成立しうるといえます。 会社でいやがらせ電話をかけつづけられたため、お客さまからの受注が取れなくなってしまったという事例で、 電話をかけた者に業務妨害罪が成立するとした裁判例があります。 なお、業務妨害罪が成立するためには、かけた者に業務を妨害しようとする意思が必要となります。
脅迫罪(刑法222条)
電話先で「殺すぞ!」とか「どうなっても知らないぞ!」など相手を脅迫していれば、脅迫罪が成立します。 また、たとえ無言電話の場合であっても、それが繰り返される場合には自分に何らかの害悪が及ぶのではないかと恐怖感をもつのが普通ですので、 脅迫罪の要件をみたしていると言うことができます。
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(傷害罪)
第204条 人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(信用毀損及び業務妨害罪)
第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(脅迫罪)
第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。