ここでは隣地隣家との間で、土地境界以外で起こりがちなトラブルについて説明しておきます。 想定される事例を紹介し、その事例に対する対策という形で整理しておきます。
■袋地に通行権はあるか
他人の土地に囲まれた土地で公路に通じていない土地を袋地、袋地を囲んでいる土地を囲繞地といいます。
もちろん、袋地の所有者は、他人の土地(囲繞地)を通らなければ自分の土地を自由、 かつ十分に利用することはできないことになってしまいます。 そこで民法は、不動産の利用関係の調整のため、袋地の所有者に対し囲繞地の通行権を認めています(210条1項)
■他人が所有している私道を通りたい
私道というのは一般の人がその所有権に基づいて交通の用に使う道路のことです。 したがって、本来その所有者の承諾がなければ私道を使うことはできません。 私道をどのように使うかは所有者の自由に委ねられているためです。
それゆえ、たとえ私道を通行した方が便利であったとしても、私道の所有者と交渉して、 通行の承諾を得ることが必要となります。
■私道の維持管理費を請求したい
私道とは、私人が所有している土地を道路として利用しているもので、 基本的には土地所有者が維持管理することになります。
しかし私道を数名が利用している場合には、 私道の維持管理に関して土地所有者を含めた利用者の間で何らかの協議が成立していれば、 その協議内容に応じてそれぞれ費用を負担することになります。
また、これから協議して費用負担額を決めることも当然できます。