これまでに境界の基礎知識として境界や公図の意味などを説明してきました。 また境界紛争の予防では、紛争が起こりやすい理由や予防方法について解説してきました。
ここでは不運にも境界のトラブルがおこった場合の対処策について見ていきたいと思います。
まず、境界紛争の解決を図るうえで、争いの内容が何であるかを明確にしておく必要があります。
境界に関する争いの内容は、根本的には簡単です。争い自体はいろいろな形をとり、 また、その原因もいろいろですが、要は「境界はどこか」という問題です。
しかし簡単なはずの「この境界はどこか」、が実際には簡単には分からないためによくトラブルになっているのです。 なぜトラブルになりやすりかは、紛争が起こる理由でも説明したとおりです。
争いの具体的きっかけは、自分のもののはずの土地が相手に侵害されている、 自分の土地の面積が足りない、境界が自分に不利なように変わっている、 といった、結局は所有権の範囲が不十分と思われることにかかわっています。
多くの場合、これを境界の争いという形で把握するのは必ずしも適切ではありません。
地番の境という境界は、当事者の話合いで決めることはできないですし、公的なものです。 またかりにそれが決まっても必ずしも互いの土地の支配範囲が自動的に定まるものでもないからです。
したがって、紛争としては境界を確定するよりは、 所有権の範囲を端的に問題にするほうが、 より直接的で効果的なことが多いことを理解しておくといいと思います。
もちろんきれいさっぱりと裁判により公的な意味での境界をはっきりとさせておくことは時として必要です。
しかし裁判ではどちらにしろ必ずシコリが残るものですから、後々の紛争がおこるとは考えられず、 所有権の範囲を合意することで当事者間の人間関係がうまくいくのであればそれにこしたことはないと思います。