隣人との土地境界トラブルにおいて、関連する刑法の法律をまとめてみました。 境界標を除去したりするなどの行為は法律に違反しておりますので、注意するようにして下さい。
関連する最低限の法律を理解することにより、 トラブル相手が法律に抵触するような行為をしていないかどうかを確認しておくといいと思います。
■境界毀損罪(刑法262条の2)
境界自体はいってみれば線で、有体物ではありませんので、これ自体を損壊するということは有りえません。 しかし境界は公的なものであり、各土地の区画線なので、これをわからなくしたりすることは許されません。
そこで刑法は、境界を認識できなくする直接的な手段である境界標の「損壊」「移動」「除去」などを禁止し、 これをした者を5年以下の懲役または50万円以下の罰金としています。
この場合、境界標であれば、たとえ自分の設置したものでも毀損に該当しますし、 また本当の境界は別のところであって、境界標は本当の境界を示していないと信じていても毀損に該当しますので注意を要します。 したがって、境界標はいじらないことに越したことはありません。
■不動産侵奪罪(刑法235条の2)
設置されている境界標を越境して土地を自分のものとするようなことは、不動産侵奪罪となり、10年以下の懲役となります。
この犯罪は、必ずしも境界標を毀損することが必要ではなく、境界をこえて隣地を侵略すると成立するものです。
ただ、この犯罪の成立要件は、自分の土地ではなく他人の土地であることを認識していることを必要とします。 そのため、自分の土地であると信じているような場合には成立しません。
したがって、境界をこえて占有を続けていて時効取得するような場合はもちろんのこと、 境界が不分明であったり誤信していたりして客観的な境界をこえてしまっているような通常の紛争の場合には、 多くは不動産侵奪罪とはなりません。