隣地境界線の土地境界トラブルの防止。近隣住民や隣人との日照、眺望トラブル、騒音、悪臭問題についても説明。

隣人との土地境界トラブルの予防

境界標の役割

ある地番の土地とそれに隣接する地番の土地との境界そのものは、目に見えるものではありません。 しかし、境界を明確に認識できる状態にしておくことが、紛争を予防し、また取引をする上においても必要なことです。

境界標は、境界を示すために人為的に設置された目印です。

なお、広く境界を表すものとして、自然の道、屋根、沢などの地形・地物、 あるいは人工的なものとしては、家の土台などがあります。 これらは、一般的に境界標識といっています。

境界標としてどのようなものを設置すべきかについて、法律に特別の規定があるわけではありませんので、 当事者が協議したうえで、設置することになります。

境界が土地の境目を示して権利の範囲を画するものであり、また、紛争を未然に予防する機能をもつものなので、 次のような要素を持っていることが必要です。

境界標の必要要素
1)境界標であることが明白で、発見されやすいものであること(顕著性)
2)容易に移動しないものであること(不動性)
3)長い年月に耐えうるものであること(耐久性)

しかし、必ずしも境界標があるからといって、 それによって直ちに境界が定められるというものではないということを理解しておくことも必要です。

境界標は、もともち正確な位置になかったり、あっても長い年月の間に自然に移動してしまうことがあり、 また利害関係者が勝手に移動させてしまうこともあるからです。

この認識のズレが土地境界の紛争をもたらすことにもなりますので、注意が必要です。

なお、移動した境界標を基準として長期間の占有が開始されれば、 時効による土地所有権の取得が成立する場合があり(民法162条)、 移動した境界標は、私法上の境界を示すことになることもあります。


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