韓国籍の不法残留者として出入国管理法違反(不法滞在)の罪で起訴された大阪市生野区の女性(65)に対し、 大阪地裁は23日、無罪(求刑懲役3年)を言い渡した。
畑口泰成裁判官は、戸籍の記載事項について「虚偽がないとはいえない」と、女性が外国人であることを否定し、 言い渡し後、「無罪だからといって日本人と認めたわけじゃない。日本にいるなら、行政庁に正式に手続きをしなさい」と諭した。
起訴状などでは、女性は戸籍上、韓国・済州島で1937年9月、韓国籍の父親と日本人の母親との間で出生したとされた。 4ヶ月間の在留期間で89年2月、来日したが、延長手続きなどを取らずに滞在。昨年10月に起訴された。
女性は「日本で生まれた日本人。(戸籍上の)両親に引き取られて戦後すぐに韓国に渡った」と無罪を主張。 来日理由について「本当の両親を捜すため」と述べ、キムチ販売の露天商をしながら生計を立てていたという。
畑口裁判官は「女性は日本で芸者と客の間で生まれた」との親類証言について「信頼できる」と判断。 「戸籍の記載のみで被告を外国人と断定するわけにはいかない」と述べた。(毎日新聞)