住基ネットの賛成や反対。個人情報漏洩、プライバシー流出事件、個人情報保護法や住民基本台帳法を説明。

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櫻井よしこさんは言う なぜ日本に必要なのか 自由な人間でありたい

「ストーカー国家に、ノーを」。刺激的なコピーが「国民共通番号制に反対する会」のチラシにどんと載っている。 代表を務めるジャーナリスト櫻井よしこさんも街頭でこのチラシを配る。 運動の場に自ら踏み込んだ櫻井さんは、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)をどう受け止めているのか。

―住基ネットの目的をどう見るか。
「国の言い値でも初期投資に四百億円、運用に年間二百億円かかる。 世界に例のない戸籍や住民登録制度がすでにある日本で、氏名、生年月日、性別、住所の四情報を管理するだけのシステムにどうしてそんな大金を国が使うのか。 国民の個人情報を一元管理しようとしているのは明白だ」

―何が起こるのか。
「十一けたの住民票コードがやがて納税や介護保険、医療保険にも使われるだろう。 病歴、職歴から交通違反や犯歴、果ては遺伝子情報さえ統一番号の下に集積されかねない」

―法律で住民票コードの利用は制限されるが。
「いや、効率や治安を理由に法改正する動きが必ず出てくるだろう」

―例えば納税者番号に使えば脱税防止に有効、との考え方もある。
「納税者番号の是非は別に議論すべき。限定的な目的で番号が必要な場合はあるだろう。 問題は、一つの番号に膨大な個人情報が寄せられるということ。現に政府税調が住民票コードの転用に関心を持っている」

―「私は悪いことしてないから、きちんと管理される方がいい」という人もいる。
「悪いか悪くないか、あなたが判断するわけではない。それに、ありとあらゆる自分に関する情報を相手が持っているとき、 本当に対等の立場でその人と話せるか、考えてほしい。どこかでひるんでしまい、上下関係、隷属関係が表れるはず。 国家が国民の個人情報を管理すれば、そういうところに行き着く」

―住基ネットに絡むIC(集積回路)カードはどう評価を。
「今は希望制とはいえ、国が国民全員にICカードを配ろうとしているのは日本だけ。 韓国は電子住民カード導入をいったん法制化しが、激論の末、カードにICチップを埋め込むことは断念した。 政府による情報支配の強化への懸念があったからだ。なぜ日本にICカードが必要なのか、と韓国の友人に問われる」

―なぜ反対運動を。
「自由な精神を保つことが人間にも国家にも大事。私自身、自由な人間でありたい。なのに住基ネットは自由主義の精神を損なう。 薬害エイズのときは記事を書けば波紋が広がり、運動の場に出る必要がなかった。 今回はなかなか波紋が広がらず、職業的責任を全うする意味でも声を上げた」

―目指すのは。
「住民票コードにつく情報が今のまま四情報に限定されていれば問題はないし、それが現実的な処置かも。 でも、この仕組みがある限り、いつか悪用される。改正住基法は廃止されるべきだ」

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