住基ネットの賛成や反対。個人情報漏洩、プライバシー流出事件、個人情報保護法や住民基本台帳法を説明。

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納税者番号へ さらに口座番号、病歴 それはとり越し苦労か

昨年十二月、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を危ぶむ与野党の国会議員約十人が衆院第一議員会館に集まった。 「国民共通番号を考える国会議員の会」の初の幹事会だった。

「住民票をとりやすくするため、住所など四情報だけを番号で管理すると聞いて賛成した。なのに、話が変わってきた」

阪上善秀衆院議員(自民、近畿比例)は、住基ネット導入を定めた改正住基法に賛成したが、会の発起人となった。 「自由か管理か、国家の基本にかかわる。旧自治省の話に、旧通産省が進めてきた病気や財産に関するICカードを連動させようとするのがおかしい。 自分たちのつくった法が違うものになっていかないか、見るのは代議士の仕事だ」と説明する。

■反対する会
八月に住基ネットが動き始めても大した変化は起きないだろう。自治体関係者の多くがそう考えている。 では、国の試算で年間の運用経費二百億円に上るシステムが、その投資効果すら見えないまま放置されるのか。

昨年秋から活動を始めた「国民共通番号制に反対する会」は住基法の再改正を予測する。 「十一けたの住民票コードやICカードの用途を広げないと投資に見合わない」と、代表のジャーナリスト櫻井よしこさん。

やがて納税者番号から運転免許証番号、金融機関の顧客番号なども一元化され、 職業、収入、貸出図書、学校の成績、病歴、投票行動、交通違反歴などが一つの番号で調べられる日が来ると、櫻井さんは警告する。

「ICカードが反応する機械をあちこちに配備し、日々の行動確認だってされかねない」

「反対する会」の賛同者には、評論家の佐高信さんや佐々淳行・元内閣安全保障室長らも名を連ね、顔触れは幅広い。 集積された個人情報が外国に流出しないか、危機感を抱く人も多い。

最大の懸念は「自由の制限」だ。会の幹事を務める東京・杉並区の山田宏区長は「失敗できない社会の到来」と言い表す。 「あらゆる経歴をコンピューターは忘れない。だから、だれもチャレンジしなくなる」

■見えない未来
全国民に割り振られる住民票コードが、いつか納税者番号などに転用されるのでは、との懸念。 総務省の高原剛住民台帳企画官は「そんな話はない」と否定する。「住基ネットは地方公共団体が共同で実施するシステム。 地方の監視があり、政府が勝手に変えられない」からだが、ただし「国民的議論があって、地方公共団体が合意すれば転用は可能」とも。

しかし、その市町村の側に「われわれの制度」との自覚は乏しい。 多くの自治体が住基ネットに不満を抱きつつ、公式に反対を表明したのは杉並区だけだった。

住基ネットの未来は、まだ見えない。

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