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ICカードは有能 だが、国に聞きたい 何にどう利用するのか

前回に続き、来年八月から各市町村が希望者に発行する住基カードについて。

住基カードに埋め込まれるIC(集積回路)の容量を、総務省は「三十二キロバイトを検討」としている。三万二千文字に相当する。

そのうち全国共通なのは、十一けたの住民票コードと名前、性別、生年月日、住所など個人情報の部分だけ。せいぜい四キロバイトで済むという。 残りをどう使うかは、各自治体が条例で決めることになっている。

こう使う、と決めた自治体はごく少ない。 図書館カード、施設利用予約や証明類の自動交付機の登録カードなど、一部の自治体にはすでにあるカードの機能を盛り込むことが考えられている。

ある市の担当者は自嘲(ちょう)気味に話した。

「必要な施策があるからカードを利用するのでなく、カードを利用できる施策を考える。話の順番が逆なんですけどね」

■普及率51%
「さんだシティカード」の普及率は51%に達している。三田市が一九九八年から発行し、人口の半数、約五万八千人が持つ。 カードがあれば市内五カ所にある自動交付機を利用でき、休日や夜間も、印鑑証明や住民票の写し、課税証明書、外国人登録原票記載事項証明書が手に入る。 こうした証明書類の41%が自動交付機での発行で、職員の削減にもつながったという。

カードは磁気テープを張ったタイプで、原価は一枚百二十円。ICカードの約十分の一だ。市民には無料で配る。

住基カードにシティカードの機能を上乗せする予定はない。二つのカードを併用し、読み取り機を二種類置く経費はないからだ。 やっと普及したシティカードを廃止すれば市民は混乱するから、住基カードへの一本化もあり得ない。

「住基カードをどう活用するかは全庁的に諮り、議論する場を設ける必要がある。それはまだこれから」と市民課長。

だが、こんな壁もある。自治体にとって住民とは住んでいる人、だ。国籍は関係ない。シティカードも外国籍住民を視野に入れた事業だ。

しかし住基カードは違う。自治体が発行するが、実態は「国民カード」。 カードを「持てない人」「持たない人」にも自治体は向き合わないといけない。

だれに、どんな施策をするのか。地方自治の原点を住基カードが問いかけてもいる。

■1枚1000円
「うーん」。住基カードを買いますか、と問うと、市町の職員たちは返答に詰まった。

千四百円ぐらいと当初説明された単価は今、千円に値下がりした。 それでも住民票の写しが他市町でもとれる程度のメリットのため、出費する人がいるのだろうか。

総務省は将来、自宅からインターネットを使った電子申請の際、個人認証に住基カードが使われることに期待をかける。 が、カードの普及目標は「まだ言えない」という。

ICに膨大な余裕を残したカードを、国はどうしようとしているのだろうか。

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