配偶者に知られるべからず、は当たり前のこととして、不倫関係がもたらす損害やリスクをこれ以上増大させないため、
してはならないことが他にもあるだろうか?
そもそも「不倫すべからず」という声が世の大勢なのだから、さらに制限を加えると、不倫のストレスは倍増すると思うが、
あえて考えてみることとする。
■子供は作るべからず
不倫関係の当事者が妊娠すると、中絶や離婚・認知・養育費と多大な負担が生じてくるので、避妊は絶対にしたほうがいい。
また、最近はHIVの感染も異性間の交渉を原因とすることがほとんどなので、コンドームは必需品だ。
戸籍や生活上のつながりのない不倫関係では、肉体関係が相対的に重要なコミュニケーションの手段となる。
となると、感情的につい、避妊をしないで密な関係を求めがちであるが、コンドームはつけたほうがいい。
一時の盛り上がりで妊娠を望む不倫カップルもあるようだが、思い通りに離婚や認知ができるとは限らない。
当然のことながら、シングルマザーの道も険しい。
■離婚・結婚を約束するべからず
不倫相手が配偶者と別れて結婚するという約束をしたにもかかわらず、約束を守ってくれないというトラブルは多い。
こんな約束はしてはいけない。
男性はその場の雰囲気に流されて、自分の一時的な願望または期待をつい口走ってしまう。
ところが女性は言葉に敏感な生き物であり、かつ記憶力も優れている。
男性が期待として軽く口にした言葉を、女性は男性の決意や覚悟、約束として受け止めがちである。
しかも、そのときは言質をとるつもりなどないものの、手紙や日記が大好きな彼女たちは、
日々の出来事や感動したことを記録している。
つい口にした言葉だって、正確にメモされているかもしれない。
のちのちの慰謝料請求を避けるためにも、こうした約束はしてはいけない。
■配偶者との不仲話や欠点話をするべからず
配偶者とうまくいっていないという話を不倫相手にしてしまうのは、実に初歩的なミスである。
配偶者と離婚するとは言わないまでも、不仲であると告げれば、不倫相手は離婚を期待してしまう。
配偶者の欠点を言って不倫相手をほめることは、相手の自尊心をくすぐる上では効果的だろう。
しかし、こうした会話を第三者に録音されたり、手紙を不倫相手に保管されたりした場合、
将来起こるかもしれない諸々の紛争で、不利に働くことは間違いない。
裁判官を前にして、自分が配偶者の欠点をひどい言葉であげつらっている会話や手紙が提示されれば、
「一番悪いのはお前じゃないか?」と白い目で見られる。配偶者も逆上して、
離婚合意のための解決金だって跳ね上がることになる。
■直筆署名入りの手紙は書くべからず
不倫相手への手紙を手書きではなくワープロ打ちにするのは、筆跡から差出人が特定されないようにするためである。
手紙を出すことは、自分のプライバシーを他人に委ねるという、実に恐ろしい行為である。
流出すれば、社会的な地位と名誉、さらには家庭を失う恐れがある。
不倫相手は、今でこそ恋の共犯者で無二の味方かもしれないが、裁判になれば敵同士。
共犯者が互いに無実を主張して、責任を押し付けあうという話はよくある話である。
自分に一番近いと思っていた人間から、無防備な背中を刺されるのが世の常だ。
名前を記した直筆の手紙など、怖くて誰にも出せはしない。