夫妻の夫婦の不倫問題、離婚や不倫相手への慰謝料請求、愛人の子供認知など不倫や浮気にの法律問題を紹介。

不倫の法律問題

池内ひろ美の「離婚の学校」
(AA)池内ひろ美の「離婚の学校」

離婚に同意してくれないとき

夫婦間で離婚の合意ができない場合、次にとるべき行動は、家庭裁判所への調停申立てである。 夫婦の住所地の家庭裁判所に離婚を求めて「夫婦関係調整調停」(離婚を求める調停)を申し立てる。 別居しているときは相手の住所地の家庭裁判所に「調停申立書」を出す。 調停でも離婚が成立しなければ、裁判で離婚判決を求めることになる。

■調停の方法と進行
調停の申立書は家庭裁判所の窓口で簡単に手に入る。家庭裁判所のFAX案内やホームページからも入手できる。 費用も安く、弁護士を依頼する必要もない。
調停は、裁判官1名と調停委員2名で行われるが、もっぱら調停委員が活躍し、 裁判官は重要なときと調停成立後に同席する程度である。 夫婦それぞれの話を調停委員が聞き、説得に努めるが、互いの合意がなければ離婚調停は成立しない。
当事者が対面して話すことはほとんどない。感情的に対立したり、暴力沙汰になったりするかもしれないからである。 実際、離婚調停の場で、激昂した夫が妻になぐりかかる事件が過去に起きているが、 その際、身を挺してかばったのは女性の調停委員で、居合わせた男性陣はひるんでなにもできなかったという。
夫婦が交互に調停委員と調停室で話すため、待ち時間が非常に長いのが調停の特徴である。 午前中または午後いっぱい、家庭裁判所に詰めていなければならないことも稀ではない。 このような作業が1ヶ月に1回、協議が調うまで半年程度は続く。 その間の生活費が支払われない場合には、夫婦関係調整の申立てと同時に婚姻費用の支払いの調整申立てをすればよい。

■調停の成立・不成立
調停委員は話し合いをつうじて婚姻継続が可能かどうかを調べて、 それが無理であれば金銭面・子供の養育面での条件を詰めて協議離婚するように促すのが一般的である。
調停が成立すれば調停調書が作成され、そのなかに、夫婦が離婚することや慰謝料・親権その他の条件が記載され、 判決と同様の効力を有する。 ほとんどの場合は調停成立の席上で「離婚届」を作成するが、この離婚届を役所に届け出れば、 戸籍上は普通の協議離婚と同じになる。
しかし、一方が「離婚する理由はない。」と主張して離婚を拒絶する場合や、親権・慰謝料の争いが難しいときには、 もはや話し合いによる解決は不可能なので、調停不成立となる。 その場合、裁判官の「審判」で離婚が命じられることもあるが、異議申し立てがあると審判は効力を失うので、 審判離婚の例は少ない。その後は裁判で争うこととなる。

■離婚裁判
裁判で離婚するためには、民法で定められた次の5項目の離婚原因のうち、 どれかひとつでも該当する事実の存在を立証する必要がある。

(1)配偶者に不貞な行為があったこと
(2)配偶者から悪意で遺棄されたこと
(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
(4)配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと
(5)その他婚姻を継続し難い重要な事由があること

ただし、(1)から(5)の事情が立証されても、 裁判官が「婚姻の継続を相当と認める」ときは離婚を命ずる判決を下さないこともある。 不貞行為を理由として離婚したいのであれば、複数回の継続的な不貞行為の存在を立証しなければならない。
婚姻を継続し難い重大な事由には、新興宗教への傾倒、倒錯的なセックスの強要、浪費癖、長年のセックスレス、 あるいは夫が性的不能であることを黙って結婚し、治療にも努力しないといった事情があげられる。
離婚原因の証拠には、不倫相手との密会の写真や会話の録音等のほか、夫婦それぞれが作成する物語風の陳述書が使われる。 そして最終的には当事者である夫婦の本人尋問がなされる。
証拠を読まされる弁護士や裁判官は、内心あまり楽しいものではないらしい。 というのも、勝ち負けが重要になる裁判では容赦ない人格攻撃が行われ、相当ひどい内容の主張も出てくる。 当事者が精神的に傷つくのも当然だ。


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