Q.
私は主婦ですが、先日、街を歩いていると、チラシをもらいました。
そこには「鍋、フライパンが200円均一。超特価。他にも新製品の展示あり。」と記載されていました。
チラシに書かれていた場所に行くと、展示会が行なわれていて、
入り口を入ると、鍋、フライパンが確かに200円均一で売られていました。
「どれでも一人1個限定で、買って行ってください。」と言われ、鍋とフライパンを1個ずつ買いました。
大変安い買い物をしたと思って、得をした気分になっていると、展示会の会場は「順路」として、出口に出るためには、
次の売り場を通らなければならないようになっていました。今度は、たくさんの人だかりができていて、
「羽毛布団がなんと10万円ですよ。安いですよ。」という呼び込みがされていました。
羽毛布団は欲しくなかったので、素通りしようとしたら、
「ちょっと、そこの奥さん。羽毛布団を買って行かないと損をするよ。」と言われ、
呼び止められました。たくさん人がいて、すごい熱気でした。買う気がなさそうな顔をしていると、
他の人が「こんな超高級品がなんて安いのかしら。絶対買うわよ。」と叫び、
私にも「あなたも買わないと損するわよ。」と言われました。
「買わなければ損だよ。数量には限定があるよ。」などどいう販売員のセールストークに乗せられてしまい、
その場の熱気にあおられて、私もつい羽毛布団を現金で買ってしまいました。
私の自宅に届いた羽毛布団を見て、主人から「これは、どうしたんだ。」と聞かれました。事情を話すと、
主人からは「これはそんなに価値のあるものじゃない。高い買い物をしたな。」と叱られてしまいました。
どうしたらいいでしょうか。
A.
これは、「新製品普及会商法」とか「催眠商法」などと呼ばれるもので、略して「SF商法」とも言います。
市価よりも安い値段で日用品などを展示会で売ると広告宣伝し、市価よりも安い商品を「おとり商品」として、
その場の熱気にあおられた人が高額な商品をも買わないと損をするような気分にさせて、ついつい高額商品を買わせる手口です。
特定商取引法の通達では、2〜3日間以上、商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状況のもとで、
展示場等販売のための固定的施設を備えている場所で販売している場合には、特定商取引法の適用はないとしています。
2〜3日間以上の展示場等の場所であることを要求しているのは、店舗と同視でき、消費者が自由に商品を選択できるからです。
しかし、1〜2日間程度の店舗即売会などで、かつ、消費者が自由に商品を選択できないような状況において販売した場合には、
法定書面受領日から8日間は書面でクーリング・オフできます。
質問のケースでは、自由な意思で商品を選択できたと思われません。したがって、展示会を開いていた期間に応じて、
特定商取引法の適用があるかどうか、つまりクーリング・オフできるかどうかが分かれるでしょう。
また、消費者がその場から退去しようとしているのに、これを妨害して、無理に買わせたような場合には、消費者契約法により、
売買契約を取り消すことができます。この場合には、羽毛布団を返還して、代金全額を返還してもらうことができます。