Q.
私は20代の女性ですが、自宅に若い男性から電話があり、「最近の若い人のアクセサリーについて市場調査をしています。
アンケートに答えていただけますか。」と言われ、軽い気持ちで、その男性の指定する喫茶店へ出かけました。
喫茶店で世間話をした後、その男性が結構ハンサムだったので、その業者の事務所へついついて行き、
その男性とアクセサリーについて色々と話をそました。話がはずんだところで、中年の男性も話に加わり、
「女性用のアクセサリーとして、あなたにお似合いのものがあります。」と言って、
商品を並べ、購入をしつこく勧誘してきたのです。
私は、いったんは「要らない。」と断ったのですが、男性からは「あなたには、このアクセサリーがお似合いですよ。
身につければ、センスがよくて、若い男性にモテモテですよ。」などと言われ、
トイレにも行けず、長時間勧誘されてしまいました。私が席を立って帰ろうとしたところ、
中年男性からは「こんなに時間を割いているのに、買わないのはどういうことだ。話を聞けよ。」などと高圧的に言われ、
根負けして、50万円分のアクセサリーをクレジットで毎月2万円の分割払いで購入してしまいました。
知人に見せたところ、「そんなに価値のあるものじゃない。」と言われたので、質屋に行ったところ、
「金の質としては純度の高いものじゃないから、せいぜい5万円くらい。」と言われました。
そこで、私は、買ってから1週間後に、販売業者に電話をかけて「解約したい。」と言ったのですが、
相手は「解約なんかできない。」と拒否されてしまいました。なんとか解約したいのですが、どうしたらいいでしょうか。
A.
このケースは、待ち合わせの約束をすることから、「アポイントメント・セールス」といいます。
商品の販売を告げられないで事務所に呼び出されて契約しているので、特定商取引法の対象となります。
「景品が当たった」「旅行に安く行ける」「あなただけ特別です」「デートしたい」などと他の目的を装い、
販売目的を隠して、待ち合わせの約束をすることが多いのです。
また、異性からアポイントを迫られるので、「デート商法」と呼ぶこともあります。
法定の書面を交付されてから8日間はクーリング・オフができます。
また、虚偽の事実を告げることは特定商取引法で禁じられています。
このケースでは、購入してから1週間後に「解約したい」と販売業者に申し入れているので、
クーリング・オフしたものと考えられます。
特定商取引法では、書面でクーリング・オフすると規定されていますが、書面で行なう趣旨は、
クーリング・オフしたことを明確にするためと、
書面を発送した時点で解約の効力が生じることから消費者保護になる趣旨があります。
そこで、消費者保護の観点からは、口頭によるクーリング・オフも認められると解されます。
裁判例でも、口頭によるクーリング・オフを認めた事例があります。ただし、後日、言った言わないの争いを避けるために、
内容証明郵便でクーリング・オフした方がいいでしょう。
また、「要らない」ので帰ろうとしたにもかかわらず、執拗に購入を勧められたのであれば、消費者契約法により、
退去を妨害したとして、契約の取り消しをすることができます。
その場合にも、商品を返還して、商品代金全額を返還してもらうこともできます。