洗剤の箱の入ったバケツを手にした人に、
「午後にまた無料で配るそうだから行っておいで」と教えられたおばあさんが催眠商法の会場で磁気布団の契約をしてしまいました。
帰り道、近所の顔見知りから「98,000円は高い」と教えられ、目が覚めてクーリング・オフができました。
近所付き合いは訪問販売の予防だけでなく、生活全般にわたり助けたり、助けられたりすることが多いのですが、
都市の生活では、「隣は何をする人ぞ」と無関心になりがちです。
悪質商法による被害者になるお年寄りは、一人暮らしで、友達も少なく、子供も訪ねてこない、共稼ぎの子供夫婦の留守番役など、
孤独で孤立している人に多いようです。お年寄りや若者に被害例や予防方法がきちんと伝わっていれば、
被害はもっと少なくなるのではないかと思われます。しかし、情報化社会と言われ、情報があふれているのに、
伝えたい情報が真に伝えたい人に届いていません。
■役所の呼びかけには限界がある
孤独なお年寄りや老夫婦のところを福祉関係の職員や民生委員の人が訪ねる制度があります。
その時、悪質業者の被害例や被害防止のパンフレット等の話をして、情報を伝えたら、とは思います。
ところが、行政というものは訪問販売については経済産業省が、
福祉関係については厚生労働省がそれぞれを管轄するという縦割りになっています。
市町村もこの縦割り行政を受け継いでいるため、福祉関係の人は悪質業者の事例をあまり知らないのです。
当然、お年寄りにも伝わりません。
経済産業省、国民生活センターなどは悪質は販売業者を公表していますが、これらの制度は通常、手口を公表しても改まらないときに、
業者名を公表します。このような二段構えのため、業者名がわかるまでに時間がかかり、その間に被害者が増えていきます。
このような制度は、被害が起きてからの対応ですので、後手に回ることが多く、予防という面からは不充分といえます。
被害防止の策を講じてくれと行政に望むより、自衛策を講じる方が早道です。
たとえば、情報交換のできる友達ネットワークはどうでしょう。
ギブ・アンド・テイクの精神で、積極的に仲間作りをしていきましょう。