消費者取引の現場で、消費者が不当な不利益を受けたりしないように、
消費者の正当な権利を守るために様々な法律が定められています。
たとえば、クレジット取引については「割賦販売法」、
訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・マルチ商法・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売については「特定商取引法」、
現物まがい取引については「現物まがい規制法」、海外先物取引については「海外先物取引規制法」、
宅地建物取引については「宅地建物取引業法」など、取引の種類に応じて法律が定められています。
いずれの場合についても共通していることは、
(1)取引条件を明示するために契約書の交付を業者に義務付けていること
(2)店舗以外の場所での取引については、クーリング・オフ制度を設けていること
です。なお、特定継続的役務提供、連鎖販売取引(マルチ商法)、
業務提供誘引販売については店舗取引でもクーリング・オフの適用があります。
ですから、取引をする場合には、まず取引の条件をきちんと表示してある契約書(または、その控え)をもらうこと、
そして、もらったら必ず、内容を何度も繰り返してわかるまで読むこと、
その上でわかりやすいところにきちんと保管しておくことが大切です。
というのは、契約書さえきちんと見ていれば早期に被害に気付いたのに、読まなかったり契約書すらもらっていないために、
被害に気付かないまま長期間にわたり放置されてしまうというケースも少なくないからです。
次に、クーリング・オフ制度を有効に利用するということです。
■クーリング・オフをどう使うか
クーリング・オフ制度とは
クーリング・オフというのは、消費者にとって不意打的な取引がなされた場合に、
消費者に対して「一定期間頭を冷やしてよく考える余裕」を与えることを目的としている制度です。
この期間内にじっくり考え直して、必要のないものを買わされてしまったとか、
よく考えたらとても払えないなどと思ったら、消費者は一方的にその取引をとりやめることができることにしています。
原則として、民法上は一旦契約をしてしまったら、一方的にこれをとりやめたり、内容を変更することはできない。
つまり「一旦約束したら守らなければならない」というルールがあります。
クーリング・オフは消費者からの一方的なとりやめを認めているわけですから、契約の例外的な制度ということができるものです。
また、クーリング・オフ制度では、消費者から一方的に通知をするだけで、
相手の意向は全く関係なくその取引をやめることができるわけですから、
もっとも有効な消費者被害救済制度であるといえます。