悪徳商法(マルチ商法、デート商法、資格催眠内職商法)対策に有効な消費者契約法やクーリングオフについて解説しています。

消費者契約法による悪徳商法対策

消費者契約法整備の背景

消費者を守るこの消費者契約法は、主に次の5つの必要性から成りたち、平成13年4月からスタートしています。

1)消費者トラブルや被害の増加

大量の商品やサービスが販売される消費社会の進展は、一方で多くの消費者被害やトラブルを生じさせています。 全国の消費者センターに寄せられている相談件数は、年々増加しています。 和牛商法、霊視、霊感商法、モニター商法、証券取引被害、変額保険被害など、 大量で全国的な被害やトラブルになっているものも多くあります。

これらの消費者のトラブルの背景には、事業者と消費者の間の情報、交渉力の格差の存在があり、 それを前提として適正な民事ルールが必要であったためです。

2)規制緩和の進行

日本経済の活性化のためや外国からの要求によって規制緩和が進行しています。 金融商品が多様化したり、航空運賃が自由化しているのはその影響のためです。

規制緩和は商品やサービスの多様化や代金の低額化など消費者に利益をもたらす一方で、 問題のある業者が参入するだな消費者に不利益をもたらすこともあります。 特に規制緩和は消費者に選択を委ね、その選択に責任をもつことを求めています(消費者の自己責任)。 しかし、正しい情報が事前に提供されなければ、選択の前提を書くことになり、 消費者が不利益を受けることになります。

規制緩和は今後さらに商品、サービス、契約形態の多様化を複雑化をもたらします。 このような状況のもとで情報が交渉力がない消費者に選択と自己責任だけを押し付けることは、 ますます消費者被害やトラブルを増加させることは明らかです。

自己責任の前提となる情報開示を進め、 不公正な勧誘による契約を取り消したり、不公正な契約条項を無効とするルールが必要であったのです。

3)不十分な従来の法制度

現在の多くの消費者被害の救済は、民法の詐欺(民法96条)、錯誤(民法95条)、 不法行為(民法709条)の規定や信義則(民法1条2項)などの一般条項を近よにおこなわれています。

しかしこれらは要件が厳格であったり、一般条項であるため、 救済されるかどうか予測が難しいなど救済方法としての問題があります。 そのため、消費者契約の特性に合致した民事ルールが必要であったのです。

4)国際的な消費者法制の流れ

消費者契約の適正化のための民事ルールを定めることは国際的な流れでもありました。 1993年に消費者契約の適正化に関するEC指令が採択されて以降は、 広い範囲の国々で消費者契約に関する民事ルールの整備が進められてきたという流れがあったためです。

5)公正取引実現のためのルールの必要

行政規制が中心であったこれまでの消費者保護法制のもとでは、 事業者も消費者も何が公正な取引であるかの判断を行政に委ねる傾向がありました。 公正取引の実現の要請は、国際的にもまた国内においても強い要請となっています。

今後は事業者及び消費者が自ら判断して、公正な取引を実現していくことが求められます。 このための判断の基準となるルールが必要であったのです。 そのルールの実現は消費者取引における被害やトラブルの予防にも資するものとなるのです。


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