現代社会には、多くの商品やサービスが溢れています。 コンピューター商品や金融商品など内容がよくわからない商品も多くなっています。
契約形態も、クレジット契約や電子商取引など複雑になっています。 商品、サービスの多様化や契約形態の複雑化はこれからもどんどん進んでいくものと想定されます。
現代社会では、商品、サービスの内容や契約についての情報量は、 繰り返し取り扱っている事業者とそうではない消費者との間で格段と差がついています。 この事業者と消費者の情報の質、量の格差の存在が多くの消費者被害の背景にあるのです。
消費者は、毎日の生活の中で多くの契約を結んでいます。 アパートの賃貸借契約やローン契約などでは契約書を作っていますが、 バスや電車に乗るときの運送契約や、スーパーで買い物をするときの売買契約ではいちいち契約書を交わしていません。 しかし、これらも契約にかわりはありません。商品を購入したり、 サービスの提供を受けるときには必ず契約を交わしているのです。
このような、私たちが生活の中で知らず知らずのうちに交わされている契約のほとんどは、 事業者があらかじめ作成した契約条項に基づいています。 このような契約条項は、事業者が一方的につくるため、 事業者に一方的な責任の免除が規定されていたり、消費者が本来なら解約できる場合でも解約できなくなっていたり、 解約できても多額の違約金が定められているなど、消費者に不利な条項があります。
消費者にはその内容をチェックする余裕もなく、たとえ見つけてもこれを排除することは実質上できません。
このように現代社会では、契約における交渉力についても事業者と消費者には、大きな格差があるのです。
これらの事業者と消費者の間の情報や交渉力の大きな較差の存在を前提として、 事業者と消費者との間の契約ルールを定めているのが消費者契約法です。